まず挨拶
「おはようございます」ギョウカイの仕事は、まずこの挨拶から始まります。
朝でも昼でも夜でも夜中からでも、仕事の始まりは「おはようございます」。
そして終わりは「お疲れ様でした」。まずは挨拶の基本です。
編集室
編集って?
編集作業を専門用語で
『EED』
といいます。
『EED』とはElectric Editorの略で、日本語で言えば『電子編集』となります。
ビデオデッキを2台持っている方は、一方でビデオを再生しもう一方で録画する、いわゆる「ダビング」をしたことがあると思いますが、『EED』も基本的にはそれと同じです。
ただ違うのは、手動ではなく専用のコントローラー
『編集機』
を使ってVTRをコントロールする点で、しかも3台、4台、あるいは10台近いVTRを同時に制御することもあります。
編集機
また、再生側のテープ(
「素材」
と言います)が1本とは限らず、カメラで撮影した「収録素材」や「CG素材」、「アニメーション素材」なども含め、全部で100本を越える事も少なからずあります。それらを1本のテープ(
「受けテープ」
と言い、最終的に完成品になるテープの事を特に
「完パケ」
と言います)に、
特殊効果(DVEなど※後述)
や
文字(テロップあるいはスーパー※後述)
などを入れながらダビングし、放送用や販売用に仕上げるのが『EED』なのです。
再生VTRと素材テープ
編集作業は通常2人ないし1人で行います。
2人の場合、編集機を操作して実際に編集作業をする人を
「エディター」
といい、それ以外の事をまかなう人を
「アシスタント」
といいます。
一般に、「エディター」よりも「アシスタント」の方が後輩であると考えられがちですが、基本的に「エディター」も「アシスタント」も編集室の機材は全て扱えなくてはいけないので、必ずしもそうである必要はありません。
今日
の
エディター
Mさん
今日のアシスタ
ント
Dさん
ただ、もし皆さんが新人として編集室に入る場合、最初は「アシスタント」として「エディター」を見ながら編集作業の流れと全ての機材の使い方を覚える事になります。
それでは実際の編集作業を見てみましょう。
準備だよ
編集室の準備は、作業開始の30分前までに終了させるのが基本です。準備とは次の様な事をいいます。
1.編集室の電源を入れる
2.室内の清掃
3.使用するVTRなど、機材の各種調整
4.素材の準備
5.受けテープの準備
作業開始時間の5〜10分前には編集室で待機し、お客様(制作会社など)を待ちます。
VTRヘッドの清掃
さあ、編集開始
作業時間になり、お客様がいらっしゃいました。
「おはようございます。よろしくお願いします」・・・挨拶を忘れずに。
今日のお客様は「ディレクター」と「アシスタント・ディレクター」(AD)の二人です。
ディレクターから今日の編集作業についての簡単な説明があった後、ADから
「エディットシート」
を受け取ります。
ディレクターとの打ち合わせ
エディットシート
「エディットシート」とは、使うカットがどの素材のどこにあるかを示す
「タイムコード」
(ビデオテープに記録された時間。VHSのカウンターと違い、テープをVTRに出し入れしても変わらない。DVDのチャプターやCDのトラックのようなもので、01:25:30:12というように時:分:秒:フレームであらわされる。)を一覧表にしたもので、このデータを元にしながら編集を進めていきます。
またデータは「エディットシート」のかわりにフロッピーで来るときもあります。
タイムコードの表示
実作業は・・・
「アシスタント」の人は「エディットシート」を見ながら編集に使う素材テープをVTRに入れ、使い終わったテープを取り出し、次に使うテープと入れ換えます。その間に「エディター」が素材テープの中の使用する部分のデータを「編集機」に入力し、編集を実行していきます。
編集は、「エディットシート」の「タイムコード」を「編集機」にテンキーで打ち込んで、1カット1カットを受けテープにダビングしていくのが基本的な方法です。
素材を再生VTRに入れる
アシスタント
「エディットシート」以外のカットが必要な場合は、素材を再生しながら探し、「ディレクター」がその場で使う場所を決めていきます。(素材を見ながら『ポンッ』とキーを押して入力するので
「見てポン編集」
と言います。)
また、映像にスローをかけたり早回ししたり、カットとカットのつなぎをオーバーラップしたり、
DVE(Digital Video Effect)
と呼ばれる特殊効果装置で様々な効果をかけるのもここです。(例:モザイク・PnP・爆発・ページめくり他)
そのような特殊効果をかけるときは「ディレクター」が指示を出すのが普通ですが、時には「エディター」が判断し、「ディレクター」に提案することもあります。また、どのような特殊効果をかけるのかを「エディター」が委ねられる事もあるので、その作品のその場面がどのような雰囲気であるのか、「ディレクター」がどんなイメージを持っているのかなどを即座に判断し、その場で効果を作らなければなりません。
複雑な合成をする時などは事前に打ち合わせをしておき、前もってプログラムしておく事(「仕込み」といいます)も必要です。
(「『仕込み』が一番楽しいんですよ。時間を気にしなくていいし、自分の思うようにできるし。何でもありありだから(笑)」・・・エディター『Hさん』談)
スイッチャー
画像をクリックすると
拡大してご覧になれます
オーディオミキサー
また、「編集機」はVTRを制御するだけでなく、DVEや
オーディオミキサー
、再生VTRを切り替える
「スイッチャー」
など、編集室のほとんどの機材を制御することができます。時には自動で、時には手動でそれらを全てタイミングよくコントロールしながら、編集作業は進んでいきます。
テロップ入れ
TVを観ていると、画面上によく文字が出てきますよね。
編集で画面の上に文字を入れる作業を
「テロップ入れ」(スーパー入れ)
といいます。
今まで説明してきた作業と同時にテロップ入れをする時もあれば、映像を一通りつなぎ終えた後、そのテープを再生側にして、別のテープにテロップを入れながらダビングして行く時もあります。
テロップは、専用の用紙に印刷されたものを専用の装置やカメラなどで取り込む方法や、文字データをテロップ専用のコンピュータに入力する方法などがあります。いずれの場合も「エディター」が編集データを「編集機」に打ち込んでいる間に、「アシスタント」がテロップを「仕込んで」いくことが多いでしょう。
テロップの出方や消え方(フェードイン/アウトやスライドイン/アウトなど)、タイミングなどを決めたら実行です。
テロップ用紙
やっと完成
このようにして全てのテロップが入ったら、音入れ前完パケテープ(
「MA前完パケ」
と言います)の完成です。(※MAに関しては別項目参照の事)
「お疲れ様でした」
実際の編集は、想像よりも時間がかかるものです。朝から始めた作業が、夜中や翌日の朝まで続く事も少なくありません。
さらに「エディター」には、自分の作業している作品の内容を短時間で把握し、「ディレクター」のイメージしているものを理解しつつ、編集室の機材を用いてそれを具体的に表現していくセンスとスキルが必要となってきます。
どんな仕事も同様ですが、このギョウカイの仕事は特に「好きでなくてはできない」仕事であるといえるでしょう。
しかし、機械をさわるのが好き、コンピュータをさわるのが好き、あるいはビデオやオーディオの配線は全て自分でやってしまう人や、好きな事をしている時は時間を忘れてしまうという人などは、「エディター」になる素質を十分に持っているはずです。
「編集」は大変、だけれどとてもやり甲斐のある仕事といえるでしょう。
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